第17話 ケンカは日本語で!
スイスの山々はハイキングルートで有名だが4000mを越える嶺を擁する巨大な山地が2つもある。その一つアイガー、ユングフラウで有名なベルナー地域の山なみを3日も山小屋を渡り歩いた。
観光地、ハイキングコースと異なり人も少なく山小屋の食事も質素である。
4日目、毎年長期滞在する第二のふるさとミューレンへの下山だ。
毎年の定宿、アパートをインターネットで予約済みだ。この宿は小さいが
オーナー夫婦2人だけでやっている。
旦那は誰かから後で聞いたがオリンピックのスキー選手として出たことがある
とか。
とても優しく素朴な人、そして奥さんは食堂のテラスで俺が一人でビールを
飲んでいるとアコーデオンでヨーデルを弾いてくれるとてもアットホームな大好きなホテルだ
この宿に泊まる楽しみが毎年スイスに俺の心をかきたてる大きなきっかけになっている。
しかしである!このホテルに着いたら見知らぬ人が出てきた。旦那も知らない。
そして、しかも俺の部屋がダブルブッキングされていた。
予約金まで払わされていたのに(今までは請求されたこともない)
下山したらアパートのキッチンですき焼きを作ることを楽しみに、三日間このことを考え歩き続けていたのに。
ああ!それなのに。
こんな俺の気持ちも知らずに一日だけだからホテルの部屋(アパートの部屋と別棟で同じ経営者)に泊まれという。
ホテルの部屋のほうが高いのでいいだろうと迄云うが、そんなことで納得がいかない。
設備はアパートの方が応接セット付のロビーそして別室の寝室、ゆったりとしたバスルーム、キッチンには冷蔵庫レンジ、なべかま、コップ、皿などなど、設備面では抜群によい。
そんな、こんな、いろいろな事で腹が立ってきた。しかし英語でのクレームではらちがあかない。
だいいちケンカの英語なんて知らない。とうとう怒り心頭になつた俺は日本語で怒鳴った
「ダブルブッキングなんかしゃがって!オーナーの恥さらし!」
「バカ!まぬけ!おたんこなす!」など など。
俺はペンション16年やっているがでも、ダブルブッキングなどしたことがない。
今年始めたばかりの、ど素人 とてもゆるせない!
こんなわけでスイスに行く動機となっていた9年らいの、大好きな定宿は無くなり来年はどこに行こうかなー!