第16話 山の下りでくだる
モンテローザ。それはあまりにも有名な天空にそそり立つマッターホルンの東につつましく対座する。
しかしその高さはマッターホルン(4435m)より高く凛としてそびえ立つアルプスの女王だ。
モンテローザから流れ出た巨大な氷河を数時間渡ると、氷河のまっただ中の岩山にモンテローザ小屋はある。
下界からの荷揚げはとても大変、食料などもヘリコプターで運ばれる。
ボトルのミネラルウオーターなど大(600円) 小(350円)
しかしである、なぜかビール(それも生)が安い。大ジョッキが(350円)氷河に照り返された夏の強烈な日射しを歩き続けのどはカラカラ。
小屋にたどり着きそのまま外のテラスで大ジョッキをいっき飲み、うまい!
でもこれくらいではまだまだのどの渇きは止まらない、水も飲みたい。
ミネラル水はビールと同じくらいの値段だ。
小屋の外の木箱には氷河からホースで引かれた水が豊富にあふれ流れ出ている。
しかし木の札にkein nicht trinken(飲めません)と書いてあった。
小屋の人に聞いたら氷河の水はミネラルが多すぎて下痢をするとのこと。洗面用だと云う。
しかし「氷河の水が飲めなくってヒマラヤに行けますかってんだ!」
と云うわけで、この水をガブガブと心おきなく飲んだ。特に問題はなく次の日も大丈夫。
しかし3日目の帰る日のことである。とうとう下山中に便意もないのにしみ出すような下痢が始まった。ティシュをはさんだが歩くとずれてダメ。
仕方がないのでズボンは脱いでパンツ姿で下山。もちろん氷河上で数キロ先まで見渡せ、人影も無いので問題はない。便意があったらすぐ脱げ氷河上の小川でする。氷河上いたるところに小川が走りそして氷河の割れ目に吸い込まれる。水洗トイレなので環境汚染はない。
そして観光客が居るコルナグラードの丘に近づき、とっておきの一つしかないスペアパンツにはきかえた。氷河の照り返しで脱水状態になったか?数時間の苦行の果て下痢はやや治まった。
よごれたパンツは氷河上を流れる小川で洗いリュックに洗濯物を張り付け歩きながら乾かした。 もちろんズボンもはいたよ!
下痢で困り抜いた一日だった。
反省、少しの水なら問題ないが、ガブガブ飲むなら沸かしてミネラルを沈殿させてから飲むべきだった。
帰国後インターネットでAlpine Log キレットルーム というHPでパンツの枚数というくだりで下痢の時に女性生理用具をフィットすると良いというアイデアがあった。
このことを知っていればパンツ姿で氷河下りをしなくても済んだのにと思った。 このHP管理人の涸沢貴族さん、いろいろ山男には貴重な知識をまとめた密度の高いHPです。
山男(女も)必見!!