第10話 またまた酒の失敗(搭乗は余裕を持って!)
いつものように安いチケットは乗り継ぎがある。
今回はスイスのチューリッヒから日本への帰り、乗り継ぎのためベルギーのブリュッセルで降りる。
乗り継ぎ便出発まで2時間もある。スイスから時間もなく飲み足りないのでゲートで待つのも退屈と、外のスナックでビール大を2杯ゆっくり飲む。
帰りの便なので気のゆるみから、いつの間にかウトウト、気がつくとナント!出発時間の5分前 、あわててチェックインしようと、荷物検査のゲートに駆け込もうとした。
ところがドッコイ荷物検査官は血相を変えて駆け込んだ俺を怪しいとにらんだか、荷物オープン検査を要求してきた。
海外へ行ったことのある人なら分かるが、今はどこの空港もたいがいオープンは、やらないでX線検査だけでパスする。
しかしX線に写し出されたオミヤゲの生チョコバラでトランクに入れてきたのが麻薬と見えたのか「これは何だ?」と聞いてくる。
俺は「ミヤゲのチョコだ、飛行機の時間が無いので急いでいる」と、チケットを見せたがだめ。
検査官は荷物をオープンして納得したが、俺の旅は荷物を少なくするためにトランクは小さくさらに悪いことにミヤゲでギューギュー。トランクは受け取り時間のいらない機内持ち込みの一つだけにするためだ。
洗濯物の下着靴下など最後にトランクのふたに乗っかってやっと詰め込んだ。
だから開いたトランクは簡単には閉じない。
下着などはみ出したままの半開きで、ベルトをからげ、走り出す。
悪いことに成田行きの40番ゲートは一番奥で1キロぐらいある。ブリュッセル空港は広く長い。
動く歩道は乗っているだけの人は急ぐのでさらに歩く人のため片側をあけている。
その歩いている人を、日本語でドイテドイテとわめいて走り込むと、歩いている人も驚いてよけてくれる。
やっと40番ゲートに走り込んだらもう人はいないゲートも閉まっている。
もうチケットはパーだ!と血の気が引く思い。
ところが「成田へ行くのか、39番ゲートだ!」と誰かが英語で叫んだ。
ゲートは変更になったのだ。
39番ゲートはまだ開いており、口からアワをふきながら走り込んだ。
飛行機のドアのところでバッタリ倒れ込んで、水、水!と日本語で叫んだ。
あわてたスチュワーデスはボトルのまま水を持ってきた。コップは忘れた?
水をボトルから直接飲んでやっと人心地がついた。
日本語が二回も通じたのは、世界の共通語の仲間入りしたか?
本当はゼスチュアだけで、だいたいの事は通じると言うことだ。
ところでボトルの水は俺が口づけして直接飲んだので、そのままいただいた。
飛行機の出発は15分遅れだった。
普通は飛行機の出発時間は遅れるものなんだが、俺のせいかナー、反省!