エッセイ インダスの源流
あこがれのカラコルムヒマラヤ
それはエベレストのある
ネパールの西ヒマラヤに対し
東に位置する
流れのその奥は
夢にまで見たカラコルム
魔の山 ナンガパルバトも
近くにある
パキスタンからヒマラヤを越し
遙か中国へ壮大なカラコルムハイウエイ
でもここはインダスの流れから
切り立ちへばりつくような道
ガンジスの源流でも あわや!の思いをした
なぜか懲りずに
似たような道をたどる俺
遙か 高みにある道から
インダスは小川のよう
川にかかる橋はマッチ棒のよう
広いところは
100m近い幅の流れ
それに比べて
人の手で開いた道の
なんと か細いことか
荒々しい流れ
インダスに
心細げな つり橋
それでも 地元の人には
生命の橋
更にきびしく
わづか一本のロープで
結ばれる いのち橋
俺はなぜか この荒涼とした
自然に惹かれる
何もない 原始の世界を
数日かけて 土ぼこりの中 走る走る
それでも荒れ果てた
河原に 一本の野バラ
ほっとして気持ちもなごむ
なぜきびしい旅に
惹かれるのか自分でも分からない
たどり着いた秘境フンザ
五月なら あんず 桃など
花の桃源郷
しかし六月の今は
その花もない
ただ美しいただずまいを 見せるヒマラヤが
しかし登るにつれ 恥じらうかのように
雲のベールに 身を隠すヒマラヤ
恋いこがれる 思いで待つ数日
しかし願いは通じず 雲の彼方に あこがれのヒマラヤ
雑草として生える ラベンダーに 想いを託し
ガンダーラへと旅立つ