第4話 火薬だ!ロケットを作ろう
佐渡大探検も終わったある日、俺は近所の薬局の前を通って、目をむいた。(うがい薬塩ボツ散あります。)と、ガラス戸に紙がはってあった。
エンボツとは火薬の原料、エンソサンカリ、すなわち、酸素のかたまりである事を、古本立ち読み少年の俺は、すでに分かっていた。
前からやりたかった火薬の実験が出来ると、金のあるダンゴをさそい、エンボツを買いに行った
当時マッチの代用として、薄く割った木片の先に、硫黄をぬったツケ木というものがあった。
この硫黄をけずり、木炭の粉を混ぜると、黒色火薬という、種子島以来のクラッシックな火薬となる。火をつけるとはげしく燃え、和紙できっちり巻いて、石の上でたたくと爆発した。
とうとう火薬が手に入ったとガキ連中を集め、大騒ぎであった。この遊びは家のそばでやったので、近所の人々は恐ろしがり、俺達が焚火をやっていても、何か爆発するのかと、避けて通った
そのうちに火薬をエンピツのキャップに詰め込んで、ロケットにすることを思いついた。エンボッは酸素のカタマリであるから、燃える物を混ぜれば火薬になる。
たとえば、うどん粉でも、おがくずでも。各自それぞれ火薬を工夫しロケット遊びに熱中した。
場所は広大なフィールド、海岸の砂浜である。ロケットはエンピツのサックと決めて火薬の種類、量は自由というルールで、ロケットの飛行距離をあらそった。
発射台はボール紙で作った。とよの長さ角度も飛距離を伸ばす重要な要素で
いろいろと工夫をした。
シヨウノウを混ぜたものが一番飛んだ。青空に自分の作ったロケットが白煙を引き飛んでいく、本当に爽快な遊びだ。とうとう近所の薬屋のエンボッ散は売り切れとなった。
そこのオヤジは「なぜかこの薬が急に売れ出したんだ」と言っていた。俺達悪ガキ集団が買い占めているのを知らないな、と心の中でニンマリした。
その後肥料、除草剤の中に火薬になる物を知ったが大量に出来、爆発したら大事故になると思い皆に黙っていた。そして火薬遊びは卒業したのだ。
しかしこの方法で作られた爆弾は材料が手軽に入ることなどで、現在もテロなどに実際使われているのだ。こわいこわい!