エッセイ カナダへの旅路
どこまでも続く線路
広大なカナダ
一日一本の旅客列車
それよりも優先される100両、
2kmにも及ぶ長大な貨物列車。
我々を確実に
みちびいてくれる線路
その先に山がある
その自然は人の手が
加わらない太古のままだ。
花の咲くみち
湖の奥へと、どこまでも続く
メルヘンのいる森
沈黙する針葉樹の森へ
導いてくれるみち
その奥には
まだ見たことがないような
神秘の湖面が
あの美しきルイーズ姫の
ひとみのような
青い湖面
レイクルイーズ
(注、トホホ第四話ルーブル美術館で見たルイーズ王女の瞳の色)
道にウィスラー(りす)が
たたずんでいる
人を恋しいのか逃げもせずに
パンの一切れを与える
おそれも知らず近寄り
食べ始めた
6月というのに
山の上の湖面は
まだ冬のなごりが
湖面をとざしていた
それでも
おかに上がってみると
かぜが氷をおしのけ
春の領域を
確実にひろげていた